













あらすじ
香山惠理香は都市再開発を担当する優秀で合理的な弁護士だ。
ハードな仕事をこなす日々の中、生理が止まってしまい、医者から女性ホルモンの減少が原因だと言われる。性的なスキンシップが効果的だと聞くが、職場や友人など近場で都合が良い相手を探すのは後々リスクが高い。
そんな中、ネットで最近人気が高まっている女性風俗について知る。そこで惠理香は、女性風俗を利用して合理的に「治療」を試みることに。ラブホテルで待つ惠理香の元に女風から派遣された「セラピスト」のユウジがやって来る。期待と不安が入り混じる中、惠理香の初めての女性風俗体験が始まる。
企画意図
ある日、ネットの女性風俗の記事が目に止まった。「女性風俗の利用者が増えている。女も男と同じように風俗で合理的に性欲を解消する時代がきた」ええ!?最近そんな感じなの!?髪を切るなら美容室、お肌のケアならエステのように「性欲を解消するなら女風」、性も専門家にお金を払って合理的に解決する時代になったのか!?衝撃を受け、女性風俗について調べはじめた。
ホームページを見るとコースや料金が明確で、オプションも豊富。訪問から終了までシステム化されていて、利用しやすそうだ。所属するメンズはマッサージの訓練を受けた「セラピスト」と呼ばれ、まるでエステのような印象。「体験者の声」も非常に満足度が高い。
しかし、読んでいくと、ある共通点に気付く。体験者たちの「満足」は、話しを聞いてくれた、笑わせてくれた、抱きしめてくれた、など性欲解消とは関係ない部分が占めていた。合理的なシステムの中で、女性たちが求めているのはむしろ不合理な部分で、そのチグハグ感に切なさを感じた。
古い物から新しい物へ時代は常にアップデートされていく。古い街並みは近代化されたビル群に代わり、スマホ1つで何でも出来る合理的で便利な時代になった。でも人間は不合理な生き物で、時代は変われども求める物は変わらない気がする。
本作では合理的な時代を合理的に生きようとする女性の機微を描きたい。


監督:弥富千穂
脚本家。福島県生まれ。東京在住。子どもの頃、映画『ネバーエンディングストーリー』や『ET』を観て感動し、映画ばかり観て10代を過ごす。その後、会社員となる。ある日、友人と「生まれ変わったら何になりたい?」と話していた時、 「映画を作りたかった」と答えた。すると友人が「現世でやれば?」何の知識も技術もなく年齢的に無理だと思っていたが、友人の一言が心に残った。2017年、思い切って脚本学校に通い始め、映画やドラマの書き方を学ぶ。2020年からプロットや脚本の仕事を受けるようになり、2021年、2022年には短編ドラマのオリジナル脚本を手がける。2023年に映画学校の監督コースで学び、短編映画「ナニカ…」を製作・監督。これからも現世で映画作りに挑戦し続けたい。
脚本: Amazon Prime Student 短編ドラマ「この恋は近くて遠い」(2021年)、「おーちゃん まーちゃん、ないしょの冒険 お人形様と鈴の精霊」(2022年)、その他:映画、ドラマ、アニメのプロット、脚本
CAST

広山詞葉(香山惠理香 役)
1985年生まれ、広島県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒業。2017年より女優業と並行し、インディーズ映画の企画・プロデュース活動を開始。プロデューサー・俳優として国内外の映画祭で数多くの受賞歴を誇る。
ドラマ「最後から二番目の恋」「軍師官兵衛」「やすらぎの郷」「SPEC」シリーズ、映画「ヘルタースケルター」「天空の蜂」「私にふさわしいホテル」「Page30」など出演作多数。本作では、インドで開催されたGlobal Indian Film Festival 2024にて最優秀女優賞受賞を果たす。

新太シュン(ユウジ 役)
モデルとして活動をスタート。演劇に興味を覚え、舞台役者としての活動を始める。CM、雑誌、MC、ショー、イベント、オペラ等、幅広く活躍中。東京モーターショーのMC、本田美奈子「Minako太陽になった歌姫」、バックアタッカーズ「円盤」、「陰陽師」、in easy motion「黒い虫」、「さまよう理性」等の舞台に出演。上田慎一郎監督映画「ポプラン」、駒谷揚監督映画「映画かよ」出演。

鈴樹けん(香山康弘 役)
学生時に出演した舞台をきっかけに役者の仕事に興味を持つ。上京後、舞台役者として活動開始。劇場、ショー、自主映画等に出演。社会福祉イベントのMC、演出等も担当。2023年ENBUゼミナール俳優コースを卒業。近年の主な出演舞台に「つれていって」、「穏やかで無情な景色」、「ご機嫌パッチワーク」等。
STAFF

撮影:金優樹
美容師、会社員を経験した後に、フリーの映像カメラマンとして活動を開始。ドキュメンタリー、企業プロモーション、ファッションショー、MV等、幅広く携わる。企画、編集にも精通し、ドローンや水中撮影も得意とする。

助監督:石川多鶴
名古屋市立大学芸術工学部在学。制作会社の映画・ドラマ演出部で活動中。「ShortMaxオリジナル」にてドラマ監督デビュー。短編映画「家族の家」「影となる」では監督、脚本を担当。SDGsムービー「サランラップ編」では脚本と演出を務める。監督作品「FLY BY NIGHT」(2024年) K’s cinema上映。

照明:榊原亮太
株式会社プログレッソに入社。13年間勤務ののち独立。照明技師としてテレビ番組、映画、CM、舞台や音楽ライブ(森山直太郎、GLAY、Official髭男dism等)の照明を手がける。Googleが主催するYouTube Space Tokyoにおいてトークイベントの照明デザイン・オペレートやYouTuberの撮影サポートやインストラクター活動も行う。

ヘアメイク:夕紀
原宿、代官山のサロン代表、悠馬に師事。10年間の美容師生活を経て、2022年フリーに転身。美容師と両立しながらアーティストのヘアメイクを務める。

録音:鈴木淳矢
写真スタジオを経てフリーのフォトグラファーとなる。その後、自身の監督作品である短編映画「漫才、しよか」は「なかまぁるショートフィルムコンテスト」で準グランプリを受賞。2023年監督作品「にんじんケーキ」がおいしい映画祭入選。

オリジナル楽曲:KNGN
バンド活動を経て、2023年よりボーカロイド曲を制作しインターネットで発表する。映画「ナニカ…」のエンディング曲「algo como tango」を作曲、制作。

この映画について
この映画は、新宿の歌舞伎町にあるラブホテルの客室で撮影されました。
女性風俗について調べる中で、利用者の多くがラブホテルを使っている事を知り、ぜひラブホテルで撮影したいと考えました。
しかし、貸切でない限り、営業中のラブホテルの撮影は難しく、ロケハンに悪戦苦闘しました。
ラブホテルのロケハンを繰り返す中、支配人の方々とお話しする機会があり、昨今、多くのラブホテルが閉業している現状を知りました。
少子化、コロナに加え、「綺麗な街造り」のための都市再開発の波に押され、ラブホテルは徐々に姿を消していました。
「性行為のためのホテル」は日本にしかない独特のホテルですが、私はネオンがビカビカするラブホ街に、どこかノスタルジィを感じていましたので寂しさを感じました。
そんな現状が、本作のテーマ「合理性」にマッチしていると感じ、再開発のターゲットとなっているラブホテルの一室で展開する物語にしようと再度、脚本を見直しました。
そんな中、歌舞伎町のラブホテルでの撮影が決まりました。
利用者の方の目につかないよう最小限のクルーで撮影に臨むことになり、
スタッフはハードだったと思いますが、一丸となり撮影しました。ラブホテルの客室で撮ったことで、映画にリアリティと臨場感を持たせられたと思います。
そして、この映画はクラウドファンディングの支援によって製作されました。女性風俗を扱った映画なので万人にウケる作品ではないと思っていましたが、沢山の方に興味を持って頂き、支援を受ける事が出来ました。
応援してくださった皆様に心から感謝申し上げます。
【受賞】
Blue Bird Film Festival 2024
(最優秀女性映画賞)
Indo Dubai International Film Festival 2024
(最優秀国際短編映画賞)
4th Dimension Independent Film Festival 2024
(最優秀女性映画賞)
Global Indian Film Festival 2024
(最優秀女優賞 / 広山詞葉)
Top Indie Film Awards 2024
(最優秀オリジナル アイディア賞)
CANADA SHORTS Film Festival 2024
(国際短編映画部門 優秀賞)
【入賞】
Berlin Indie Film Festival 2024
(入選)
Golden Bridge İstanbul Short Film Festival 2024
(入選)
Wallachia International Film Festival 2024
(入選)
Independent Days International Filmfest 2025
(入選)
Australia Independent Film Festival 2024
(国際短編映画部門 Quarter-Finalist)
Top Indie Film Awards 2024
(ノミネート:最優秀短編映画賞/脚本賞/編集賞/サウンド賞)
監督・脚本:弥富千穂
企画・製作:弥富千穂
撮影:金優樹
照明:榊原亮太
録音:鈴木淳矢
ヘアメイク:夕紀
衣装コーディネーター:樺山奈津子
衣装協力:井野淳・谷間有美
編集:弥富千穂・金優樹
整音・MIX:稲葉康之
キャスティング協力:永野和哉
制作:金子裕行
助監督:石川多鶴
字幕翻訳:Ben Appleyard (VICENTE)
オリジナル曲
KNGN「algo como tango」(Ending Theme)
劇中挿入曲
Seiko (Peritune.com) 「Folk_Tango」 (Opening Theme)
MOMIZizm.MUSIC 「ずれる空間」
MusMus 「You Far Away」
MusMus 「君が眠るための即興曲」
Hitori-Oto 「脳内お花畑」
Elisabeth Schumann 「Ave Maria, Op. 52 No. 6, D. 8391」 (Licensed by Warner Music Japan Inc)
KNGN 「トルコ行進曲」
整音・MIX:ヒーローガレージ株式会社
機材協力:ENBUゼミナール、パンダスタジオ
ロケーション協力:HOTEL ATLAS、HOTEL THE HOTEL
Special Thanks:篠原あさみ